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美人漫画家の新條まゆさん、小学館を離れた経緯を赤裸々に告白 

最近、雷句先生の訴訟問題で、編集者と漫画家の問題が浮上していますが
新條もフリーになったいきさつで思うところがあって普段はこういう話をブログでは絶対にしないようにと思っているのですが一言、書こうと思います。(一言じゃないですが・・・むしろ長いです。)
やはり、編集者と漫画家は対等な立場でありたいと思っています。
気持ち的には、漫画家は編集者に対して「お仕事をもらっている」と思っていたいし、編集者は漫画家に対して「漫画を描いてくれている」と思っていてもらいたい。
そんな気持ちでずっとお仕事をさせていただいていました。
どんなに忙しくても、「この雑誌に描いてほしい」と言われれば寝ないで描いていました。
「こういうものを描いてほしい」と言われれば、出来る範囲で描ける漫画を。
新條が漫画というお仕事でご飯を食べていけるようになったのは育ててくれた編集者のおかげだし、掲載してくれる雑誌のおかげでもあるのです。
ただ、そんな状況が、「描いてといえば、描く作家」「注文通りの漫画を描く作家」ととらえられたとき、その関係は崩壊します。
半年間コンビニにも行けず、月産120ページをこなし、睡眠時間の平均が3時間を割るような状況は当たり前ではないんです。
感謝しろとは言いません。
そういう気持ちは、言われて持つべきものではないと思うので。
そんな関係のひずみを感じると、それはストレスになってしまいます。
やりたいことを我慢する必要があるのか。
ネタもないのに身を削ってまで、新しい作品を発表しなきゃいけないのか。
ある時、「こういう話はもう描きたくない。この連載は違う方向で描いて行きたい」
と相談したところ、「だったら、この連載は終わり。次はこの雑誌に移って」
と編集長に言われ、その場は担当編集者も含めてのお食事の席だったのですが「じゃあ、後は担当と話して」と編集長は帰ってしまいました。
「ああ・・・長年この雑誌のために仕事して来て、曲がりなりにもすこしは貢献出来たと思えるだけの成果をあげてきたのに、最後は感謝の言葉もなく、こんな形で終わるのか・・・」と頭が真っ白になりました。
自分の13年間って、いったいなんだったんだろうと。
そして、次に移れと指定された雑誌は、「それまで」の新條まゆと何ら変わらないものを求められる雑誌で・・・
こういう時に言葉を選んでいてもどうかと思うのではっきりいいますがもう、Hな漫画は描きたくなかったのです。
それはその時思っていたことではなくて、『快感フレーズ』を描き上げた後からずっと思っていたことでした。
が、一つの流れを作ってしまった自分が自分の首を絞めてしまったわけですが当時はその流れに逆らうことが許されませんでした。
そして、今まで通りの新條まゆを求める雑誌には行きたくなかった。
悩んで、悩んで、小学館を離れる決心をしました。
それを担当に告げると、「だったら、いままでの出版物を全部絶版にする!」と言うので、驚いて、「脅すんですか?」と言ったところ「脅してるのはそっちでしょ!!」と言われてしまいました。
この辺りから、弁護士に相談するようになりました。
作家一人と大企業。
どう丸め込まれても、どんなウワサを広げられても一人では太刀打ち出来ません。おまけに「頭がおかしくなってる」と言われ、むりやり連載を1回休まされました。
わたしは猛烈に反対しました。
楽しみにしているファンに申し訳ないと。
しかし、結果、休むことに。
が、休ませた本人はなんと、雑誌に休む旨の予告を入れなかったのです。
結果、まるで原稿を落としたかのような扱いに・・・
それだけならいいです。が、私の漫画が見たくて買ったファンの子はどうするのかと落ち込みました。
大人にとって200円ちょっとなんて、はしたお金かもしれませんが子供たちにとっては大事なお金です。
それを無駄にさせてしまった子がいるかと思うと、本当に胸が痛くて。
あの時、もっと反抗して、休まなければよかったと悔やみました。
そんな時、当時、小学館に出入りしていたうちのスタッフがある話を耳にします。それは、編集部の一人が「新條まゆが連載を休んだのは、休ませないと移籍すると脅したからだ」
と発言したものです。
週2回の少女雑誌は現在3誌ありますが、お休みがもらえないのは小学館の雑誌のみです。不定期連載もさせてもらえません。
休みたいと思っているボロボロな作家はたくさんいます。そこに、わたしが休んでしまった。他の作家たちから不満が出てもおかしくはありません。
私が脅したといえば、他の作家たちも納得するのでしょう。
が、話はおかしな方向に行きます。
内部事情を暴露したと、うちのスタッフを出入り禁止にしてしまったのです。
うちのスタッフといっても、わたし専属ではなく、いろんなところでデザインのお仕事を抱えている方だったのですが、小学館はやめさせてしまいました。
おまけに、そのスタッフがわたしを洗脳してると言い出す始末。
自分たちが言って来たこと、やって来たことを顧みない行為に私は完全に編集部への信頼を失ってしまい
移籍する決意を新たにしました。

ここへ来て、やっと新條が本気だと言うことがわかったらしく慌てて大規模なお食事会がセッティングされ、お偉いさんも集まりました。
そこでそのときの自分の気持ちを正直に伝えました。
これからやって行きたいこと。描いてみたいお話。雑誌。
しかし、小学館の少女漫画雑誌の一番偉い方には「甘ったれるんじゃない!」と言われてしまったのです。
やりたいことを伝えて何が悪いんでしょう。描きたいものも描けずに求められるものだけ描いてればいいと言うことでしょうか。
漫画家は小学館の奴隷ではないのです。
実は小学館に専属契約というのは存在しません。
そのかわり、書類上の契約よりも強固な「暗黙の了解」という専属契約が存在します。
基本的に他社で描いてはいけないのです。
これは出版社にとって便利なもので、追い出したい作家は一言で追い出せて、つなぎ止めておきたい作家は、どんな嘘やウワサや丸め込みを使っても、つなぎ止めることが出来るわけです。
漫画家は世間知らずが多いです。社会人として働いた経験があるわたしでさえも「他社で描くなら、今までの出版物はすべて絶版」と言われた時、「じゃあ、ダメなのか・・・」と一度はあきらめました。
この時すでに、他社の編集部からいろんなお仕事の引き合いがあってその方々が「そんなことは絶対にあり得ない!作品は作家のものであって出版社がどうこうできるものじゃない!
そんなことを言う編集者が本当にいるのか?」と驚かれたので、初めて「ああ、脅されてるのは自分なんだ」と気がつきました。
他社の編集者から驚かれたのはこれだけではありません。小学館の編集者の態度、発言、作家に対しての扱い、あらゆることが「信じられない」と言われました。
小学館で育った作家は、他社の扱いを知りません。
どんなにひどいことを言われても、それが当たり前だと思っています。
以前、集英社のネームが遅れてしまって、土日に担当さんの自宅にファックスを送ることになったんですが、わたしは頑なに「月曜日に編集部に送ります!」と言いました。
担当さんは「自宅でも受け取りますよ〜」とおっしゃってくれたのですが以前、小学館の担当に、土日にネームのファックスを送った時に、激高して電話がかかって来て「編集者が安い給料で仕事してるのは土日は何があっても休めるという保証があるからだ!あんたたちは高い年収もらってるんだから寝ないで仕事しようが遊ぶ時間がなかろうがかまわないけど、こっちの休みまで奪うな!」と言われたことがあったからです。
また、現在わたしは、校了日までには何が何でも原稿を上げ、余裕をもって作品を仕上げています。絵も納得がいくまで書き込んでいます。
それは以前、原稿がギリギリになってしまって、絵が乱れてしまった時、担当に「水は低い方へ流れるって話、知ってる?わたしのように水瓶に水をたくさん貯めてるような人間が、あんたみたいなダメな人間の近くにいるとこっちの水瓶が減るのよ!」なんてことを言われたからです。
ネームが土日にかかってしまうのは作家が悪いし、原稿がギリギリになってしまうのも作家のせいです。
だから何を言われても、それは当然のことだと思っていました。
よくドラマで、編集者が漫画家の家に行って、「お願いですから先生!原稿描いてください〜もう時間がありません」
なんて泣きながら言っているのをみて、アシさんと「漫画家って、こんな偉そうじゃないよねぇ」とよく言ったものです。が、他社の話を聞くに付け、ふと感じ始めたことがありました。
「小学館は作家に対して、『漫画を描いてもらってる』という意識に欠ける」と。「仕事をさせてやってる」「売れさせてやってる」と思っている人間が多いということです。
もちろん、そんな人ばかりじゃないですが。

移籍しようと思ったきっかけとなった編集長の言動に対してもそうですがあの時、一言だけでも「今までありがとう。この雑誌がどうしても新條が欲しいと言ってるんで、これからはそっちをどうか助けてあげてほしい」という言い方をされていたら、もっとがんばれたかもしれない。
「小学館を離れて、いままでとは違うものを描いたら売れなくなる」
「大人しく今まで通りの漫画を小学館で描いていればいいのに」
などとも散々言われましたがもうここに至ってはお金ではないのです。
最初からすべてうまくいくなんて思っていませんし再スタートと思ってがんばってみることにしました。
精神的につらくて、体もボロボロになって大金を稼ぐより信頼出来る担当と、気持ちのいいお仕事をして、心底楽しめる漫画で1円でもお金が入ってくればそれでいいと思いました。
漫画家になって今が一番充実しているし、幸せです。
これが、新條が小学館から出た経緯です。
とても短くまとめてみましたが、それでもこんな長文になってしまいました。

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